メタセコイア Metasequoia glyptostroboides (スギ科 メタセコイア属)


 メタセコイアはアケボノスギという和名が付けられたがあまり流布せず、属名をそのまま読んでメタセコイアと呼ばれることが多い。化石としては日本各地からも発見されていたが、1941年に中国四川省で発見されるまでは生きているものは知られていなかった。日本にも300万年から100万年前頃まではたくさん生えていたらしい。その頃からあまり進化していないらしく、生きている化石として有名である。
 樹形は針葉樹の仲間らしく端正で美しい。葉は枝に対生して複葉に見える。秋には紅葉し、短枝ごと落下する。落葉性の針葉樹である。早春に葉の展開に先立って枝先に雄花の穂を多数形成する。雌花は緑色で、球果を形成し、秋に種子を散布する。樹形が美しいこともあり、公園や街路樹などとして植栽されている。

メタセコイアメタセコイアの葉

メタセコイアの果実メタセコイアの果実


メタセコイアの生育地

 メタセコイアに似た種にラクウショウがある。ラクウショウは沼沢地に生育し、気根を形成して長期間の水没にも耐えて生育する。メタセコイアも水没に対して強い抵抗力を持っており、何ヶ月も水没していても水が引くと生育を再開できるという。大昔、湿潤地帯に生育していたメタセコイアなどが倒れ、化石や石炭になったらしい。日本の川辺にメタセコイアが林立して森林を構成していたわけで、現状から見れば想像しにくい風景である。現在は公園や街路樹として植栽されたものを見るだけであるので、沼沢地に生育する能力があるとは想像しにくい。


ラクウショウ Taxodium distichum (スギ科 ヌマスギ属)


 ラクウショウはアメリカ大陸の東南部からメキシコに分布する落葉の高木。湿潤地における生育に適しており、長期間の水没に耐えることができる。普通の場所に植栽すると気根を出すことはないが、湿潤地に生育すると独特の気根を形成する。気根は根の上側が生長して空気中に出てくるもので、膝根とよばれる。和名は落羽松、沼沢地に生育するので、ヌマスギの別名もいただいている。

ラクウショウの気根ラクウショウの葉と球果