「小さな木の実

うた 大庭照子
作詞 海野洋司

1.小さな手のひらに
  一つ古ぼけた木の実握り締め
  小さな足跡が一つ
  草原の中をかけて行く
  パパと二人拾った
  大切な木の実握り締め
  今年又秋の丘を
  少年は一人かけて行く

2.小さな心にいつでも
  幸せな秋はあふれている
  風とよく晴れた空と
  暖かいパパの思い出と
  坊や強く生きるんだ
  広いこの世界お前のもの
  今年も秋がくると
  木の実はささやくパパの言葉



この歌の元となったのは、「カルメン」や「アルルの女」で有名な、
フランスの作曲家ビゼーの「美しきパースの娘」というオペラ。
彼は37才の若さでこの世を去ったのですが、ほとんどの曲は生前に評価されることなく
(それが原因で、酒におぼれ身体をこわしていったようです)
あの有名なカルメンさえも、そのヒットを彼自身が見ることはありませんでした。
「美しきパースの娘」もまた然り。
「小さな木の実」のもの悲しいメロディーが、いったいどんな場面で使われていたのか、
調べることができないくらいの情報しか残されていないのです。
のちに遠い異国で、父親の死と少年の成長を秋の木の実になぞらえて歌われているとは、
一番驚いているのはビゼー自身でしょう。

それだけ心を揺さぶるメロディーだということでしょうか。
 マイナーコードの8分の6拍子・・・
これも日本人の心をつかむ理由の一つかも知れません。